『オゲハ』読みました
『オゲハ』の1、2巻を読みました。
頭と胴体が人間ぽくて、あとは蝶々の手がついていて下半身はアリみたいな生き物と、それを見つけた男の子の話です。
たぶんネタバレになると思うんですが、その生き物の下半身が本当に昆虫。
そんな可愛い顔して嘘だろってくらい、虫。
名前はオゲハです。
この子の両親らしき2匹のイモムシは彼女のことをインフェルノと呼んでいました。
このイモムシがすごく大きいです。
5歳児が抱えて両腕がなんとか回りきるかどうかくらいの大きさに見えます。あと人間の言葉を話して、何でも食べます。
人間とか残飯とか食べたり、触手みたいなもので遊具を溶かしたりと危ない虫たちです。
どうして彼らがイモムシで、彼女の手が蝶々の羽なのかよく分かりませんが、オゲハはアリの女王みたいな存在なのでしょうか。
そうだとすると偉いですね、幼虫の頃から働いて、女王を守ったり少年に攫われたら探したりして。
働きアリになる前から働いて、のちのち燃え尽き症候群とかにならないんでしょうか。
少年が繭に入っていたオゲハを引きずり出して持って帰ってしまうところから、お話は始まります。
汚いアゲハ蝶みたいだから「オゲハ」と呼ぶようになります。
彼は彼女に自分のことをキジと呼ぶように言います。
多分、キジは生き物を飼ったことがないのでしょう。
ごはんを与えなくては生き物は死ぬという当たり前のことを他人に指摘されてから気付きます。
なんかその辺りから、キジは悪い人間から自分を守ってくれてる良い人間みたいにオゲハが錯覚しているように見えました。
実際、彼女が恐れる自分を連れ去った「悪い人間」とキジは同一人物ですが、オゲハはすっかり忘れてしまっているみたいでした。その健気な様子が不気味です。
2巻の最後で彼女はキジが誘拐犯だと思い出したみたいです。
キジは受験生です。
しかし、塾はサボっていて、だからといって不良になったわけでもありません。
ただオゲハを見つけて、いつも通り学校に行って、帰ってきて家で音楽を聞いたりゲームしているだけです。
ある日、塾をずっとサボっていたことが母親にバレてしまい、彼は家出しようとします。オゲハも連れていきます。
コンビニでご飯を買って、どこで食べようかなんて言っているときに自転車が転倒して壊れます。
「お前重いしここで別れよーぜ」と彼は言いました。
オゲハは一生懸命追いかけようとしますが、彼女は這うことしかできません。オゲハは飛べません。
そのあとすぐに、何を思ったのかキジはオゲハを迎えに来て、土手で一緒にご飯を食べて家に帰りました。
キジにとってオゲハはどういう存在なのでしょうか。
ただのペットか、暇つぶしか、私には彼が彼女を受験からの逃避に使っているように見えます。
あくまで私の思ったことですが、家出したときにオゲハを置いていけなかったのは逃げ道を完全に失ってしまうからではないでしょうか。
彼は中学生ですが、それゆえの半端な家出、サボり、詰めの甘い反抗。
学校の先生に幾度となく昆虫の飼育の仕方について質問していますが、オゲハのことを大切に思っているからではなく、そうすることによって勉強のことを考えなくていいからじゃないかなーと。
違うかも。
読んでいて不思議な、ぞわぞわする気持ちになるので好きです。
2巻が発売したばかりですが3巻が待ち遠しいです。